はじめに

　このご時世、どんな大きな会社や有名な企業も存続の危機があります。最近は佐久間製菓の「サクマ式ドロップス」がもうすぐ手に入らなくなるというニュースが駆け巡りました。以前なら周りが何とか存続させようとしたり、倒産させないようにと応援するような時代だったと思うのですが、今はもうそれを聞いた途端に買い占めからの転売というコンボが成立するようになりました。

 

　自分が不要になったから欲しい人に安く販売する、海外製品だからみんなのために輸入販売するなどの販売は悪くないと思うのです。が、普段ファンでもない、欲しくもない、むしろ存在すら知らなかったような方が、情報を得たとたんに買い占めて高額で販売＝（転売）するということが当たり前のようにニュースで出てくるのが残念ですね。まだゲーム機とかチケットとか普段から欲しいという人がいるなら分かりますが、今までその商品に見向きもしなかったのに、よくチャンスとばかり飛びつくような真似ができるなぁ、というのが率直な感想です。

　１個200円くらいの缶の飴に800円とか1200円とか付けて売って喜ぶのは販売者だけですね。プラットフォームもだいたい10％くらいの手数料が入りますが、こういう時はやはり「規制しろ」とか「対策しろ」とか叩かれますし。間違っても購入者の笑顔は想像できないですね。と思っていたのですが、以前転売をやったことのある知り合いから聞いたことを思い出しました。

 

購入者の笑顔

　私は今のEC販売で不当に値段を吊り上げたいとは思いません。もちろん最低限の利益がないと販売する意味がなくなりますが、バカ高い価格設定で見向きもされないのはもちろん、うっかり買ってしまった方から「値段相応でない」と低評価されることになると、現在のEC販売をする意義がなくなってしまいます。特にあると嬉しい＝なくても困らないものを買ってもらうので、購入者には品質と価格面で満足していただき、笑顔になっていただきたいのです。

　もうお分かりでしょうが、上記の高額転売時に購入者が笑顔になる場合、それはそれがさらに高く売れて儲かると分かった場合です。先ほどのサクマ式ドロップスがもし1缶1,000円で売れているなら、600円で販売している方がいたり、10個で5,000円とかで売る方がいれば、喜んで買うそうです。普通の人ならまず買いませんが、それがさらに高く売れ、それなりに利益が出ると分かった場合は「お宝発見！」のような感覚でとても嬉しいということでした。というのも手数料や送料を差し引いても、プラスになるという結果のみを求めているからです。誰が買うのか、購入者が満足するかとかは一切気にしないということでした。それを気にしている方はそんなことはしませんよね。

…ごく一部ですが、いいお値段しますね。これ、本当に今必要ですか？

今一度こういう明らかな高額転売商品は購入前に冷静になることをおススメします。限定品とか今を逃したらではなく、普段から本当に欲しかったものかをよく考えてみてほしいです。

 

さらなる問題点

　保管の効くカードやゲーム、未開封で価値の上がるプラモデルなどは分かりますが、こちらは食べ物です。消費期限があるし、期限までに食べたら缶が残るだけです。その缶自体には現時点では価値などありません。未開封でも食品なら期限過ぎたら廃棄すべき物ですし。

　食品なので万一保管状態が悪くて溶けていたり、空気が漏れていて腐ったりなどしたらトラブルになりかねません。スーパー等で買ったわけでないなら、販売責任の所在も怪しくなりますし、万一食中毒などあれば、返金して済む問題ではありません。投機の材料としか考えない転売屋はそんなことを気にしないでしょうが、良識ある一般の購入者はそういうことを考慮して慎重に行動をしてほしいですね。購入しなければお金が入らないから次の転売もできないし、成功体験とならないから、転売屋は以後同様の転売を自重するかもしれません。結果として多くの転売が減ればいうことなしですね。

　購入者は勇気を持って「転売屋から買わない」選択肢を選んでくださいね。